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プレスリリース

臨床試験のモニタリングと監査に関するガイドラインの公表に寄せて

2015年6月1日

臨床試験は新たな医薬品・医療機器や医療技術の開発に欠かすことの出来ないステップです。臨床試験によって得られたデータは、新規医薬品・医療機器等の有効性と安全性を評価するための情報として用いられ、その影響は臨床試験に参加した被験者(研究対象者)にとどまらず、その臨床試験結果の影響を受ける全ての患者に及びます。これらの人々の人権保護、及び安全と福祉を確保するためには、臨床試験の科学的な質とデータの信頼性を担保することが必要不可欠となります。

モニタリングや監査は、臨床試験の科学的な質とデータの信頼性を確保する手段であり、治験ではGCPに則りこれまでも実施されてきました。また今般、「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」においても、侵襲(軽微な侵襲を除く)を伴う研究であって介入を行う臨床試験ではモニタリングと(必要に応じて)監査の実施が新たに求められることとなりました。

治験ではモニタリングと監査に要する業務量と費用が大きな比重を占めていますが、人的および経済的資源が限られる医師主導治験や研究者主導臨床試験で、従来の企業治験と同様の方法でこれを実施するのは困難です。研究者及び試験実施医療機関は、モニタリングと監査の意義を理解した上で、臨床試験の目的や性質等に応じて、適切かつ効率的なモニタリングと監査を実施しなければなりません。

このような背景より、平成26年度厚生労働科学研究費補助金(医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究事業)「治験活性化に資するGCPの運用等に関する研究」班、及び大学病院臨床試験アライアンスが共同で「モニタリング・監査ガイドライン作成委員会」を設置し、各研究組織におけるモニタリングと監査の体制整備およびその実施に活用できる資料を提供する目的で、本ガイドラインを作成しました。本ガイドラインで対象とする臨床試験は、医師主導多施設共同治験から施設内臨床試験まで多様であり、当然のことながらモニタリング等の手法は臨床試験のレベルに応じて変化します。今後、研究責任者がモニタリング・監査を実施する際に、本ガイドラインを柔軟に活用していただければ幸いです。

モニタリング・監査の方法は、IT化など科学技術の進歩によっても変化します。また実際の事例を共有することも重要です。本ガイドラインの内容をより充実させていくために日本臨床薬理学会の会員の皆様からの忌憚のないご意見をお待ちしています。

日本臨床薬理学会理事長
ガイドライン作成委員会代表
渡邉裕司

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