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日本臨床薬理学会のご紹介

 日本臨床薬理学会は、1970年に前身の臨床薬理研究会として発足し、10年後の1980年に現在の学会に発展して設立されました。わが国の国民の皆さんが、より有効でかつ安全な薬物治療の恩恵を受けられるように、学問的ならびに社会的に種々の活動をするための日本医学会にも加盟している団体です。

 臨床薬理学は、科学的な「合理的薬物治療」を志向する学問領域です。薬物治療の有効性と安全性を最大限に高め、個々の患者さんに最良の治療(治療の個別化)を提供できることを目指しています。

 合理的薬物治療を実現するためには、サイエンスとしての (1) 創薬と育薬のための臨床試験と (2) 個々の患者さんを対象にした合理的薬物投与計画法とそのために役立つ臨床薬物動態学が重要です。さらに、個々の患者さんの治療の基盤として、 (3) 患者さんと医療者との「治療の良きパ-トナ-シップと信頼関係」の形成が重要となります。これらが、臨床薬理学の3本柱です。

 新しい医薬品の開発に必要な臨床試験のあり方は、国際協調の動きの中で1997年にGCP(医薬品の臨床試験の実施の基準)が改定され一新されました。また、ヒトゲノム解析が進展し、テ-ラ-メイド医療に基づいた薬物治療の個別化とそれによる薬物治療の質の向上への期待が高まっています。

 臨床薬理学が永年にわたって追求してきた「より有効で安全な合理的薬物治療」への道は、ゲノム創薬という新しいパラダイムを得て、飛躍的に進展しつつあります。各種の薬物治療ガイドラインも、無作為化比較試験(RCT)に基づくエビデンスを重視してEBMの方向に進みつつあり、臨床試験の重要性は益々高まっています。

 学会員の学術交流を目的にして、学会機関誌「臨床薬理」を年6号発行し、毎年、日本臨床薬理学会年会と臨床薬理学講習会を開催しております。

 また、海外研修員制度(日本製薬工業協会の支援)を有しています。学会認定制度としては、認定医制度、認定薬剤師制度、認定CRC制度を有しています。

 日本臨床薬理学会編集で、臨床薬理学(改訂版、医学書院、2003年)、CRCテキストブック(医学書院、2002年)、臨床薬理学用語集(ライフサイエンス出版、1999年)を発行しています。

 医薬品の有効性と安全性とより良き使い方を追求する本学会の社会的役割は、今後益々重要になると思います。本学会の活動に関する建設的なご意見を歓迎しますので、遠慮なく学会事務局宛にお届け下さい。

(中野重行)