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薬の上手な使い方

 仮に、副作用が極端に強く、病気は何であれ薬としての効果の少ししかないものがあるとします(図)。

 これを普通「毒」と呼んでいます。薬はその反対で、いろいろな動物実験や、ヒトでの臨床試験または治験で副作用(毒性または有害反応)が注意すればある程度防げる範囲で、病気に対して効果が十分に認められたもののみが薬として使われる訳です。

 こうした作用(または効果)と副作用とは、どちらかのみということはほとんどないと言って良く、体に何らかの作用をする物質は大体どちらの性質も持っています。

 あとは、作用と副作用とでどちらが重いかということで、毒にも薬にもなる訳です。

 この作用と副作用のバランスは何を治療すべきかでも変わります。例えば、ボツリヌス菌の毒素は人体にとって明らかに有害ですが、一方ではその性質を使って脳性麻痺による運動障害の治療に使われています。

 臨床薬理学は、まさにこうした薬の上手な使い方を研究する学問です。

(川合眞一)